納棺された翌日、姉の自宅マンションでのお通夜に旦那と長男、長女を連れて電車で向かった。
夕暮れの中、最寄駅からそのマンションまでの長い道のりをとぼとぼ歩く。
かなりの距離だ。
うっすらと暗い夜空に果てしなく長い長い龍のようなうろこ雲が流れていた。
足腰が弱っていた母はこの長い道のりを何かの度にとぼとぼと歩いていたのだろうなー。
旦那は何度か我が家に遊びに来た母を車で送ったりしていたので、姉の家には行った事があるが私が行くのは初めてだった。
ピンポーン・・・。
「どうぞ。」との姉の声。
インターフォン越しにわいわいがやがやと親戚たちのにぎやかな声が漏れ聞こえてきた。
緊張の面持ちの中、部屋に入る。
リビングルームに母の兄弟姉妹の子供達、要するにいとこたちとその子供達がたくさんすでに集まっていた。
この親戚たちと会うのも母の一番上の兄のお葬式でだったか、かなり久々だった。
「お前も老けたなー。」と言われ、月日の流れを感じる。
そのいとこたちもみんな老けていた。
リビングルームの角の方に棺が置かれていて、中を覗き込む。
その中の母の顔は、病院にお見舞いに行った時のやせ細ってしわしわだった顔とは全く違い、綺麗にしわが伸ばされ、若々しくなっていた。
ちょっと、伸ばし過ぎで、普段の母の表情とは少し違っていたけれど、とても美しい顔になっていた。
やっぱり、連れて帰ってきて正解だったし、納棺師に綺麗にしてもらって本当に良かった。
宗教心もないし、一回のお布施が15万円だと言うので、お通夜にお坊さんは呼ばず、みんなで母の話をして泣いたり笑ったりした。
それで良いと思った。
母が近くで笑っている様な気がした。
母からすると娘達、かわいい孫達、可愛がった甥や姪、その子供たちの賑やかな声に囲まれて良かったのだと・・・。
みんなべろんべろんに酔っ払い、母のお通夜が終わった。
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