金曜日, 10月 29, 2010

「悪人」を読んだ!

仕事が終わると時々、職場と同じビルの6階にある本屋さんに立ち寄る。

ハードカバーものは高いし、娘の様に同じ本を何度も何度も読み返すわけでもなく一度しか読む事のない私の場合はもっぱら単行本を買う。

図書館だと新刊は予約してから何カ月も待たなければならず、待ちきれない。
なので、単行本を買うしかないのだ。

ここしばらく、「悪人」と「告白」のどちらにしようかとずっと迷っていた。
そこの書店では、このところ「悪人」の方がずっと人気ベスト1である。

「告白」の方はいじめ問題がテーマの様なのだけど、小5の娘のクラスでもいじめがあり、なんだかとってもリアルな気がして、今一躊躇してしまい、結局、「悪人」の上巻を買ってみる事にした。

上巻を一日であっという間に読んでしまい、数日後に買った下巻も一気に読んでしまった。

いつもそうなのだけど、作家の文章などとウマが合うと一気に読めてしまう。
この「悪人」の場合は特に吉田修一という作家と私も同じ長崎出身だという事、小説の舞台が九州だと言う事などから、そこに出てくる人となりも風景も空気も何もかもが超リアルに脳裏に浮かんでくるからって事もあると思う。

そして、九州の方言での会話文・・・、上京して三十年が過ぎてしまい今では全く使わなくなってしまった故郷の方言が何より読みながらとても懐かしかった。

地元にいるかつての友人たち・・・、かつて住んでいた自宅付近の風景、いろいろな出来事や思い出など、懐かしい故郷の情景が次々と浮かんでくる。
父親が死んでから、手放してしまった我が家・・・、もう戻る事のない故郷・・・に戻った様な錯覚・・・。

ところで、「悪人」の主人公・・・、どんな理由があろうとも殺人を犯したのだから、犯罪人であり、悪人と言えるのだけど・・・、ただ、ただ、その主人公の境遇が哀しくて切なくて、ほんとにかわいそうで・・・。

我が娘も息子もやがて恋愛をし、いつか結婚をし、家庭を持つ。
幸せな結婚をして欲しいなーとつくづく思う母でありました。