木曜日, 11月 17, 2005

クララ

今年の夏、家族で夢の島にある植物園に向かう途中、驚くほど美しいすり鉢状の草原を見つけた。青々とした草とオレンジ色のコスモスに似た花があたり一面に広がって、バッタや蝶やコオロギたちが楽しそうに飛び回っている。木々の下にはどんぐりかと見間違うほどたくさんの蝉の抜け殻がごろごろ落ちていて、まるでどこか遠くの世界に来た様だった。たまたま私達の足元をぴょんぴょんとすり抜けようとした巨大なコオロギを捕まえてペットボトルに葉っぱと一緒に入れて持ち帰る事にした。虫が大嫌いなはずの息子も大喜び。帰宅後、図鑑で調べてみるとそれはメスと判明し、娘がクララと名づけてそのまま飼う事になった。しかし、世話はというと私任せで、仕方なくフンの掃除をしたり、餌をあげたりの毎日が過ぎていった。最初の頃はゴキブリほどの大きさだからちょっと不気味ではあったけど、よくよく見るととってもおめめがかわいらしい。餌の中では特ににんじんが好きな様でにんじんのかけらを放り込むとすぐさまガリガリとかぶりつく。飼い始めて3ヶ月が過ぎた数日前、急に寒くなったせいか、にんじんの横に静かに横たわるクララがいた。あーあ、ついに。虫とはいえ何ヶ月も飼うと情がわくもので何だか寂しい様な・・・。